1.顎関節症は多病因性の疾患である。(シェーマ:発症について)
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この病気はただ一つの原因で起こるのではなく、様々な要因が絡み合って症状が出現するのです。顎関節や顎の筋肉に悪影響を及ぼすと考えられている要因には、歯ぎしりやくいしばり、不正咬合や顎の形態異常、片側噛みや頬杖などの悪習癖、ストレスによる筋緊張、不安やうつなどの精神的要因などが挙げられます。これらの要因の総和が個人の生体許容範囲を超えたときに顎関節症が発症すると考えられます(図1〜3)。
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図1:
個人の抵抗力が様々な発症要因の総和より大きいので症状が出ません。
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図2:
様々な発症要因の総和が個人の抵抗力より大きいので症状が出てきます。
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図3:
個人の抵抗力が低下している場合は、様々な発症要因の総和がさほど大きくなくても症状が出てきます。
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| 2.顎関節症は珍しい疾患ではない。 |
ある疫学データでは人口の約75%は少なくとも一つ以上の顎関節症の他覚症状(関節雑音、開口制限など)を有していて、約33%は少なくとも一つ以上の自覚症状(痛み、違和感など)を有している調査結果があります。このように顎関節症は特別な珍しい病気ではありません。
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| 3.顎関節症は「self-limited」な疾患である。 |
「self-limited」というのは、「治療をしないでも長期的には症状が落ち着いたり、おさまる性質がある」ということです。何らかのきっかけで顎の痛みや開口制限が出現したとしても、しばらく安静にして顎に無理をかけないようにしていると多くの場合は症状が良くなってきます。
それでは顎関節症は治療しなくてもいいのでしょうか?答えは”No”です。たとえば症状が何週間も何ヶ月も続く場合は、何らかの治療によってできるだけ早く症状を緩和させることが必要と思われます。また数日で症状が消失しても同様の症状がしばしば繰り返し再燃するような場合は、先に挙げた顎関節や顎の筋肉に悪影響を及ぼす要因を調べて、それらへの対策を講じるべきだと考えられます。
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4.顎関節症は「緩解する」が「完治はしない」疾患である。
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顎関節症は今のところどんな治療を行っても完全に治る病気ではありません。それはある患者さんの発症原因を特定して、それらを完全に除去することができないからです。また顎関節の形態変化が生じている場合、治療によって元の正常な形態に戻すこともほとんど不可能です。
しかし、様々な治療法を行うことで痛みや顎運動障害などの症状は緩解したり消失したりします。ただし(先に挙げた)顎関節や顎の筋肉に悪影響を及ぼすと考えられている要因を放置すれば、症状はいずれ再燃する可能性が高いと考えられます。顎関節症は慢性の疾患ですから、一生おつきあいする覚悟が必要です。これはずっと症状に苦しむという意味ではありません。症状が再燃しないように、悪化しないようにケアをしていく、症状の波を小さくするようにコントロールしていくことが大切なのです。
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